11月7~8日 中国医薬品メーカー 釧路視察 中国の中堅医薬品メーカー JIUXIN(九鑫)グループ(会長 黄桂銀氏)が、医薬製造部門であるJIUXIN バイオ化学有限公司社長 陈国慶氏と秘書を連れて、釧路地域で問題なっているエゾシカ問題の現況を確認するために釧路市に視察に入った。

1.背景について 釧路地域ではエゾシカが増加し森林、農作物の被害のほか、さらに車、鉄道との衝突によって 釧路地方だけで年間500件以上の鹿と車との衝突事故が発生。すでに人命が失われるような深刻な問題が起きている。
道東の鹿の推定生息数は22万頭(北海道全体で47万頭、ともに北海道環境生活部エゾシカ対策課しらべ)。被害防止とエゾシカの保護を目的に、北海道では年間12万頭捕獲し処分しているが、そのうち8割以上がただ破棄されている。

2.エゾシカとその資源としての価値 エゾシカは中国、シベリアに広く生息するシベリア鹿系の鹿で、中国では通称 梅花鹿(学術的にはcervus nippon(日本鹿))として国家一級保護動物に指定され捕獲、殺害が禁止されている。
とくに生えかけの角は鹿茸(ろくじょう)という。これは滋養強壮に効果のある漢方薬品として極めて高価であり、日本の医薬品メーカーはわざわざ中国、ロシアから輸入し調達している。
 エゾシカの皮はとても柔らかく、眼鏡拭きなどにも使われる高級品である。

3.現況 道東地域(釧路、根室、十勝、オホーツク)で捕獲されるエゾシカの頭数は毎年年間7万頭(平成27年 65,353)、その8割程度が利用されずに破棄されている。
函館にある皮の仕入れ業者が1頭あたり1,000円以下で冷凍した生皮の状態を回収する。
このように釧路地域の貴重な天然資源が、ほぼ何も利用されていない。

4.視察後のJIUXIN(九鑫)グループ会長 黄桂銀氏の感想
中国商務省より釧路地方でエゾシカが増えすぎそれを捕獲してただ破棄しているという情報を最初聞いたとき、俄に信じられなかった。
中国人にとってエゾシカはパンダと並ぶ貴重な動物であり、かつ生薬として貴重で高級品だからである。
しかし実際に釧路に来て、この2日間だけでもあちこちでエゾシカを見ることができその生息数にはただただ驚いた。
同時にそのほぼ全てが未利用なのにも驚いた。
この滞在中、釧路市から産業立地に関する説明を受けた。
当社の本社のある中国山東省東平県の土地よりも釧路市の工業用地の価格が圧倒的に安い。
さらに釧路港と中国 青島港、天津港との間に週2便の国際コンテナ海運航路があり便利であることがわかった。
釧路市が今後、急速に発展することを理解した。
当社のような地方の中小企業が釧路に工場進出するには、中国側の外為規制(人民元から日本円への両替に制限がある)、さらに中国側の銀行の出先が釧路にまだないなど、資金調達の面で大きな問題が存在する。
このため釧路への工場進出実現にはハードルがある。
しかし釧路市は私にとって、とても興味深い都市となり好きになった。
また一方で、釧路地方のこの状況を日本の医薬メーカーが知らずに、依然 中国から鹿茸を高いお金を払って輸入しているのだから実に滑稽な話であると思った。
日本経済停滞の原因のひとつには、日本人自身が日本の国土、日本の資源に関心が薄いことが原因ではないのだろうか。
当社は、傘下に3社の企業がある。 釧路市には今後妻を連れて来る。 そして避暑地としての魅力を事業に活かせるか検討したい。

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