7月3日 定時総会記念講演『ラグジュアリーホテルと都市の発展』

~アジア全域で展開するハイアットリージェンシーの奇跡~

                        建築家・都市計画家 伊東忠彦氏

現在の釧路市は、昔のアトランタに似ています。アトランタは南北戦争後、南部の物流拠点でありましたが、都市はすっかり衰退しておりました。南北戦争後、コカ・コーラはアトランタで開発され本社が置かれていてもとくにダウンタウンは荒廃していました。私が住んでいた当時そうであったわけです。その荒廃したダウンタウンの再開発の核となったのが、ハイアットリージェンシーの進出であったのです。魅力ある建物にはヒトを集める求心力があるのです。実は私も設計に参画したニューヨークの世界貿易センタービルもその界隈はこのビル開発が進むまでは単なる倉庫と荒廃したダウンタウンだったわけです。

釧路市を取り巻く状況を見てみましょう。私は釧路市に2度足を運び、日本にこれほど景観の美しい大自然と、広大な平野が拡がる都市「釧路」があり、中国政府ばかりか世界が注目する国際港湾である釧路港と、釧路空港、そして建設中の道東自動車道と鉄道、これら社会インフラが整った都市の存在を以前は知りませんでした。ですから来て驚いたわけです。

「百聞は一見に如かず。」と言いますが、といいますのも、私はだいたい日本を回って、各地を見て説明を聞いても、日本のスケール感が国際水準以下であるところに失望するということが多いわけでして、釧路はまさに期待を裏切る魅力溢れるスケールの大きな地域なわけです。

釧路を日本人は寒いと言いますが、夏は避暑地であり、冬は降雪が少なく晴天が続く。北米大陸のカナダのような気候に大変魅力的であるわけです。そもそも住環境、都市環境が北米カナダと変わりませんから不都合は全く無いわけです。

幣舞橋を挟む景観は、ボストンに似ています。でも川の両岸を充分に活かしていません。釧路市立博物館に行ってみたら、展示物がびっちり積め込み過ぎな程でとても魅力的な博物館なのです。ところが玄関先は飾り気も何もなく全くチカラが入っていないのです。入館料も私のような外部の人からしっかりとって1人1,200円程度に価格をあげて、魅力を発信すべきです。

中国政府が「北のシンガポール」と釧路を評価しています。世界が釧路を注目してるのに、釧路市民は全くの無頓着であり関心がありません。でもそのような状況は、かつてのアトランタもそうであったわけです。

つまり市民が無頓着で関心がない地価の安いいまこそ再開発の絶好の機会であると思っています。私は残りの人生を釧路の発展に貢献したく思っています。



伊東 忠彦 (TED T.ITOH)建築都市計画家

       1945年東京生

       アメリカ建築学会会員(AIA

       ワシントン大学教員教授

 

1968:フランク・ロイド・ライト奨学生として学ぶ(ライト財団)

     カリフォルニア大学バークレー校 大学院に留学

     アーバンデザイン ウェーバー教授研究室 

1970:MINORU YAMASAKI ARCHTECTSASSOCIATESTROYMICHIGAN

     ワールド・トレード・センター(ニューヨーク)

     モンゴメリーワード社(シカゴ)

     センチュリータワー(ロスアンジェルス)

     都ホテル(東京)他 担当 

1973:丹下健三 + 都市建築研究所メンバーとして海外プロジェクトを担当

     黒川紀章氏の許でタンザニア国際競技場設計 一等入選

     帰国後 伊東忠彦+アトリエを設立 

1976: JOHN PORTMAN ARCHITECTESASSOCIATESATLANTAGEORGIA

     プロジェクト・アーキテクト

     カイロセンター(カイロ)

     ボナベンチャーホテル(ロスアンジェルス)

     マーチャンダイズ・マート・コンプレックス(ロンドン)

     マリオットホテル(ニューヨーク)

     ピーチツリーセンター・コンプレックス(アトランタ)  

                                他 担当 

1979:TED T.ITOH ARCHITECTESASSOCIATESU.S.A.JAPAN)代表

     TT CONSULTANTS INC.U.S.A.)代表

     アメリカを中心として日本、インドネシア、シンガポール、中東等の

     建築・都市計画、プロジェクトコンサルタントを行う

     ワシントン大学 客員教授

     清水建設米国 プロジェクトマネージャー

     日本設計インドネシア プロジェクトマネージャー 

1989:株式会社MARUKO 代表取締役副社長

     MARUKO U.S.A 社長 

1992:株式会社伊藤忠彦都市建築事務所 代表

     アメリカ スチールケース社 シニアアドバイザー

     コマニー株式会社 顧問 

2002:株式会社菱和ライフクリエイト 顧問 

2006:株式会社新日本建物 顧問

 

著 者: ・第3世代の建築家とその方法論

     ・アメリカ都市開発とその展望

     ・ディベロッパー、アーキテクト

     ・提言 都市・空間・環境

     ・アメリカ現代建築の動向 シリーズ

 

講 演: アメリカンセンター(東京、札幌)

     大林組、竹中工務店、錢高組

     日建設計、京都大学大学院




 7月3日 第13期 定時総会

会場 ANAクラウンプラザホテル釧路

17時~17時30分

中村圭佐 会長挨拶

釧路日中友好協会は、思想、政治に関係なく街づくりをテーマに絞って活動している特異な国際交流団体であります。釧路経済は「国際バルク戦略港湾」の指定以降、飼料関連の相次ぐ企業進出によって他都市と比べて明るい未来のある都市に変貌してきました。2024年には、高速道路の釧路延伸によって、国際ハブ港湾、空港、鉄道、都市が結接し、北海道を代表する一大物流拠点に変貌する環境が整いつつあります。今年度は「ひがし北海道産品」の中国向け輸出、釧路空港への国際定期便就航に向けた活動を推進したく思っています。



来賓挨拶

 蝦名大也 釧路市長



 佐々木政文 北海道日中友好協会理事長


総会議長 松並邦拓



 25名出席

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