11月10日 『北の釧路 南のシンガポール』公開講演会の様子

会場 釧路プリンスホテル2階
18時~19時半

出席数35名 
講師 福山秀夫 (公財)日本海事センター客員研究員

来賓 駐札幌総領事館総領事 王根華
   前内閣府特命担当大臣 衆議院議員 伊東良孝
   北海道議会議員 伊東尚悟
   前北海道議会議員 笠井龍司

他に 国内大手総合商社、釧路経済人(建設、不動産、機械)、政治家、本州中堅物流企業幹部であった。

◎釧路港整備にあたってのおおまかな提案内容。

1.バルク貨物からコンテナ港湾化が、発展成長の重要な要素。

2.鉄道貨物とコンテナ貨物との融合、港湾荷役のDX化、無人化、自動化による一体的な整備が不可欠。釧路のコンテナ貨物駅はコンテナ埠頭に併設し、規模は延長2キロ、幅を700mから800mとする。第二青函トンネルを整備し、全国から釧路への鉄道貨物輸送体制の構築。(C&R 海上コンテナと鉄道貨物との一体化)

3.コンテナ埠頭は1ブロック全長5キロの直線化が目安である。(全国 釧路以外でこれら整備できる地形はない。)規模の拡大とともに5キロ単位で延長して整備を推奨。

4.釧路港はトランシップ港として発展成長させるのを推奨。(内航、鉄道貨物、道東自動車道、道東縦貫道、釧路空港による一大物流拠点化)

◎福山氏講演録から(釧路港に言及)

釧路港が国際的なハブ港を目指すには、

①背後地における産業クラスターとの連携、

②トランシップ港化に向けたDX対応、

③内陸輸送と海上輸送の接続強化が鍵となる。

特にシンガポール港のような集貨再分配機能と海陸複合輸送の導入が重要である。

また、道東地域や北極海航路との連携を視野に、北海道東部の物流拠点としての優位性を活かす必要がある。内航RORO船やJR貨物との連携、釜山や大連など東アジア主要港との接続拡大が今後の課題である。

また、中国船の入港を検討することも貨物拡大の重要な手段となる。

釧路港は現在、バルク戦略港湾としてRORO船中心の内航が主体で、外貿航路は釜山便のみである。今後、国際競争力を高めるためには、

コンテナ貨物への転換とハブ化が不可欠

釧路港と苫小牧港の一体運営を進め、内陸の農産物、畜産物をコンテナ化して輸出できる体制を整えることが重要。さらにJR貨物との連携で陸上輸送網を確立し、アジアや欧州とつながる北海道ランドブリッジ構想を進めるべき

 

釧路港は将来的にバースを56か所、ガントリークレーンを20基備え、510kmの港湾拡張を目指す必要がある。

人手不足が進む中、シンガポールや中国のような全自動、ゼロエミッション港湾の実現を見据えて、機械化と省人化を同時に進めるべき。

国内から貨物を集めるRORO船の強化と、地域工場誘致による貨物増加策も欠かせない。

釧路港が輸出拠点として成長すれば、北海道全体の産業再興と日本の国際物流戦略における軸となり得る。

 

北極海航路は、中国が氷上シルクロードと呼んで一帯一路構想の重要な要素としてみている。スエズ経由に比べ航行日数を約半減させることができる。Cco2排出量も約50%削減された。北極海航路は他航路と比較すると、その優位性は明らかであるが、

 

北極海航路の利用は、マースク、MSCCMAなどは環境配慮のため利用をするか未定。

ONEやシンガポールのPSAも同様である。

一方で、中国や韓国は積極的。

北極圏の気候変動リスクや氷結期の航行制限、政治的リスクなど課題も多い。

現在、中国はロシアと協力して北極圏インフラ整備を進めている。日本はどう動くべきか。官民挙げての議論が必要である。


→補足 釧路港の沖は釧路海底谷(全長150km 浅いところでも水深80m~急激に5,000mに落ち込む)と呼ばれる国内有数の深い溝が釧路川河口から千島海溝まで続いている。これは遠浅の砂浜海岸の苫小牧沖と異なり大水深港湾の建設に極めて有利な条件をもつ。




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